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ゴーゴー喫茶 [60年代クロニクルズ]

初めて性を意識したのは、中学1年生の時だった。

それ以前にも意識したことがあるかもしれないが、記憶には残っていない。

それらの記憶をつなぐ糸は、あの頃流行った「ゴーゴー喫茶」だと思う。

海水浴場として賑わったわが町には、夏の週末だけ営業する「ゴーゴー喫茶」があった。

それは旅館の屋上にあって、地元のグループサウンズがストーンズの曲を演奏したりしていた。

現在は、屋上に建物が建ってしまい、当時の面影はない。
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週末の夜、演奏が聴こえてくると、私はそわそわしながらその旅館の屋上を見上げた。

中学生が出入りする場所ではないのは承知していたが、そういう場所だからこそ興味が湧いた。

エレキギターの演奏を間近で聴いてみたい、と言って友人を誘った。

本当は、女たちが踊るゴーゴー・ダンスを見てみたかったのだ。

ある週末の夜、友人と一緒にその「ゴーゴー喫茶」へもぐりこんだ。

屋上に上がってみると、照明設備などはなく盆踊り用の提灯がぶら下がっているだけだった。

床の上には飲みさしのコカ・コーラのボトルや、焼そばのフードパックが転がっていた。

見るからに急造のゴーゴー喫茶だった。

演奏が始まる時間になり、浜辺で遊んでいた客たちが戻ってきた。

「サティスファクション」のイントロのリフが聴こえてくると、女たちが次々に踊リ始めた。

テレビで見た小山ルミや杉本エマのゴーゴー・ダンスとは少し違うと思ったが

田舎の中学生を刺激するには十分な踊りだった。

女たちの乱れた髪や背中の汗が、とてもリアルで艶めかしい。

あのときの光景は、今でも幻のように憶えている。

手摺にもたれて、踊っている女たちを眺めていると、香水と汗の入り混じった匂いが漂ってきた。

それは、初めて経験した性の匂いだった。

ずっと黙っていた友人が呟いた。

「ストーンズは、コード進行が簡単だから演奏しやすいんだ」

コード進行のわからない私には、そんな話はどうでもよかった。

演奏なんかうわの空で、目の前の女たちがまき散らす性の匂いの中で私は眩暈をこらえた。

こんな所に入り浸っていると、不良まがいの中学生になってしまうな、と思った。

夏の夜に、ここにいること自体、れっきとした不良に違いないのだが。

私の青春時代の頽廃と堕落は、この「ゴーゴー喫茶」から始まったのだと思う。

初期のストーンズの曲を聴くと、遥か昔の性の匂いと「ゴーゴー喫茶」のことを思い出す。


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